文鳥は夢を見る
空を飛んでいる夢を見た。
阿呆がこちらを見上げて、何かを叫んでいる。
「文蔵!」
どうやらそれが私の名前のようだった。
私の名を呼び、どこまでも追いかけてくるその男は、鳥の巣のような頭をしていた。
その頭が見えなくなるまで、真っ直ぐ飛んだ。
高く飛ぼうとしたが、抜かれた羽のせいで上手くいかない。
そのうちに私は疲れて、たくさんの木が生えた場所にたどり着いた。
そこには私と同じ姿をした者がたくさんいた。
その中の一匹が私にこう言った。
「おまえはここでは生きていけない」
私は目を瞑って、夢から覚めることにした。